本日のお酒– category –
酒米『山田錦の系譜』
本日、お呑みいただいているお酒は如何でしょうか?
酒米の中で、最も評価が高く、また、酒造好適米の中で生産量も最大の米『山田錦』。
あまり日本酒を嗜まない方でも名前だけは聞いたことがあるかと思います。
その最高の酒米『山田錦』と『山田錦のルーツ』にあたるお米のお酒をご用意させていただきました。
お米の違いで、日本酒の味わいがどのように違うのか、楽しんでください。
通常、日本酒は、火入れと呼ばれる加温される工程と、加水しアルコール度数の調整を行った後に出荷されますが、本日のお酒は、どのお酒も火入れも加水も行っていない『新酒しぼりたて生酒』です。
生酒は濃厚な味わいが特徴。お肉でも、お魚でも、BBQの素材にピッタリです。
どのお酒も春の一時期の限定出荷。
春ならではの味わいを是非、お楽しみください。
最高の酒米と呼ばれる『山田錦』は、大正12年、兵庫県立農事試験場において、『山田穂』を母に、『短かん渡船』を父として交配されて生まれました。
昭和11年『山田錦』の名前で兵庫県の奨励品種に指定され、以来、最高の酒造好適米と呼ばれています。
A:龍力 特別純米『山田錦』しぼりたて生
最高の酒米『山田錦』の中でも最高の産地と言われる兵庫県特A地区産山田錦100%で醸したお酒です。
まさに、最高品種の最高レベルの酒米で醸しました。
鑑評会に出品するレベルの大吟醸クラスで使うほどの品質のお米を贅沢に使用した純米酒です。
山田錦の醍醐味である、コクのある旨味と、華やかな香りを楽しんでください。
使用酵母・・・9号系
アルコール度数・・・18.6
日本酒度・・・+3.5
酸度・・・1.6
アミノ酸度・・・1.4
B:龍力 特別純米『山田穂』しぼりたて生
『山田錦』の母親にあたるお米『山田穂』100%で醸されたお酒です。
芳醇で膨らみのある米の香り、『山田穂』特有の優しい口当たりと、後味は適度な酸が心地よい余韻を楽しんでください。
使用酵母・・・9号系
アルコール度数・・・17.0
日本酒度・・・+5.0
酸度・・・1.5
アミノ酸度・・・1.0
古くから酒米の代表産地として名を馳せていた兵庫県多可郡中町で、明治10年頃、酒米の産米改良に心をくだいていた豪農『山田勢三郎』氏が、自作田の稲穂の中から酒造向きの稲穂を発見。その種子の試作を繰り返し、出来た酒米です。そして、『山田勢三郎』氏の姓をとり『山田穂』と名付けられました。
『山田穂』は近年ほとんど栽培されておらず、種もみ探しから始まりました。兵庫県酒米試験地のご尽力により、京都大学種子研究室にあった『山田穂』の種もみを頂き、7年がかりでお酒を醸せるような生産量となりました。
このお酒は、『山田穂』が産まれた兵庫県多可町中区で栽培された『山田穂』100%で醸されています。
C:龍力 特別純米『雄町』しぼりたて生
『山田錦』の父親にあたる系統のお米『雄町』100%で醸されたお酒です。
『雄町』特有の重厚感のある口当たりと、心地よい優しい余韻を楽しんでください。
使用酵母・・・9号系
アルコール度数・・・17.0
日本酒度・・・+4.5
酸度・・・1.5
アミノ酸度・・・0.9
安政6年(1859年)備前国上道郡高島村雄町(現岡山県岡山市中区雄町)在住の篤農家『岸本甚造』氏が伯耆大山詣での帰路、美作あたりにさしかかったとき、ひときわ背丈が高く、たわわに大粒の穂を付けた稲を発見しました。田の持ち主に頼み二穂を分けてもらい、自田にて試作選抜を繰り返し、この米を『二本草』と名付けました。その後、酒造りにうってつけの米と評判を呼び、高島村雄町に隣接する赤磐郡でも栽培されるようになり、軽部村(現赤坂町)の村長『加賀美章』氏が、この米の優秀なことを、全国の酒造家に広めたと言われています。そして、米の名前も、発見者であり、育ての親である『岸本甚造』氏の故郷である『雄町』と呼ばれるようになりました。
このお酒は、「せと有機雄町研究会」(岡山県赤磐郡瀬戸町)会員6名の農家の方々が栽培したものを100%使用しています。
「雄町」と「短かん渡船」
山田錦の父親品種である酒米『短かん渡船』は、『雄町』の中から、滋賀県立農事試験場で、さらに背が低く倒れにくい系統が選抜され『短かん渡船』と名付けられました。
本日のお酒3種は、最高の酒米と呼ばれる『山田錦』と、母親である『山田穂』、そして、父系ルーツである『雄町』。3種の酒米を、同じ蔵元【龍力(本田商店)】で醸されたお酒です。お米の違いによる味わいの違いを是非、ご堪能ください。
龍力 本田商店(兵庫県姫路市網干区)
『米の酒は米の味』
良いお米を使えば良い酒ができるという考えのもと、お米の美味しさを追求し、醸造するお米の全てが『酒造好適米』の蔵元です。
とことん『米』にこだわり、特に『山田錦』については、全てが最高品質「兵庫県特A地区産」のものです。
そして、そのルーツは播州杜氏の総取締役。
酒造りへの情熱が激しい蔵元です。
また、いち早く「しぼりたて生」を発売された蔵元でも知られます。
米にこだわる蔵元らしく、一度は栽培されなくなっていた酒米『山田穂』や『神力』の復活にも尽力しています。
今回のお酒について
「しぼりたて生」のお酒を選んだには理由があります。
しぼりたて生を選択した理由は二つ。
・季節のお酒であり、春のみ味わえるお酒だから。
・BBQといった濃厚な味の料理に合うから。
お酒は冬仕込まれて、2~4月にかけて新酒が出荷されます。
通常、日本酒は、二回の加熱と、加水調整をして、アルコール度数が15度前後で出荷されます。
加熱の理由は、酒質を安定させるためです。
しぼったままのお酒には、酵母や麹といった微生物が、まだまだ元気に含まれています。これらを失活させ、お酒が変質しないようにするため、加熱を行います。
お酒が変質するというのは、発酵が瓶内で進んでしまい、味が悪くなったり・・・最悪、酢のようになってしまうことのことです。
このため、しぼりたて生のお酒は、この時期のみの発売となります。
つまり、春ならではのお酒、ということになります。
しぼりたて生のお酒は、加水調整や加熱を行っていないため、味わいが濃厚です。
試飲するなら、山田穂→雄町→山田錦の順で味わってみてください。
山田穂は、この3種の中では、優しくほんのりとした、輪郭のやわらかいお酒です。
BBQの素材だと、野菜等の味わいがタンパクなものにピッタリです。
雄町は、口に含んだ味わいだけでなく、それに続く、長い余韻を味わえるお酒です。口の中に含むと甘味、うまみ、薫りが大きく広がりますが、山田錦のような鮮烈な輪郭はなく、柔らかい輪郭で広がります。そして、雄町の良さは、このあと。呑み込んだあとも、余韻がじんわりと優しく、長く残ります。「雄町が好きだ!」という好酒家が急増中ですが、その要因のひとつがこの味わいと余韻なのでしょう。
魚介類や鳥肉などに合うお酒です。
山田錦は、まず、口に含んだときの味わいが、他の2種と全く違います。甘味、うまみ、辛みが口中に鮮烈な輪郭で立体的に広がります。そして、フルーティな薫りが鼻孔に立ち上ってきませんか?お米のお酒なのに、なんでこんなフルーティな薫りになるんだろう?って思ってしまうほどではないですか?そして、呑み込んだあと、すっきりとしたのど越し。雄町のような長い余韻はなく、スッと消えるように口中を洗い流してくれます。
是非、合わせてみて欲しいのは牛肉。
獣肉の脂の香りと合わせてみると、意外な結果を生むことでしょう。
牛、豚といったお肉と合わせてみて欲しいお酒です。
とはいえ、どのお酒も、全てのお酒全体から見れば、味わい的には似ています。
どれもオールマイティなお酒です。
野菜から魚、肉・・・様々な肴と合わせて呑んでも、合わない肴はないお酒たちです。
一番オススメしたいのは、どんな素材と合わせるのが好みかなぁと、いろいろ食べたり、呑んだり、みんなでわいわい話し合いながら呑んで欲しいなと思います。
是非、お酒をネタに盛り上がってください。
記事が見つかりませんでした。